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菊姫の酒造り

誤解されている日本酒の世界<九>

~新酒鑑評会で、金賞を受賞した蔵のお酒はおいしい?~

全国新酒鑑評会とは、清酒の品質向上を目的として、国税庁醸造研究所(当時)主催で開催されていた、いわば公的な日本酒のコンテストです。2年前からは、独立行政法人・酒類総合研究所が主催しています。この鑑評会で優秀な成績を収めるために、編み出された製造方法が「吟醸造り」です。一つ間違えば、腐らせてしまう限界ギリギリのところで、酵母などの微生物を巧みに操り、「吟醸香」と呼ばれる華やかな香りや、鑑評会で要求される味のキレなどを、いかなる手間をも惜しまずに、追求してきたのです。

しかし近年は、強い香りを出す酵母株が、人為的に次々と創り出されるようになりました。かつてのように苦労しなくても、誰でも簡単に「吟醸香もどきの香り」を得ることが出来るようになったのです。近年の鑑評会では、このような酵母を使わない限り入賞は困難、とまで言われています。逆に、味と香りのバランスがとれている吟醸酒では、香りの強さの点でとても勝負にならないという、まことに皮肉な状況になっているのです。

以上のように、残念ながら、鑑評会で入賞したから酒造りの技術が優れている、とは必ずしも言えない時代になったのです。ちなみに、菊姫では2年前から全国新酒鑑評会へは出品しておりません。

このコンテスト専用酒であった「吟醸酒」が市販され始めたのは、それほど昔のことではありません。一般に広く知られるようになったのは、昭和50年に正式にラベルに表示することが認められてからのことです。菊姫では、それに先駆けること7年、昭和43年に初の吟醸酒、「菊姫大吟醸」を発売しました。初めは、その価格の高さから見向きもされない時期がありましたが、いつかこういう酒が受け入れられる時が来ることを信じて、今日までその技術を磨き続けてきました。

現在では、どこの蔵でも吟醸酒を造るようになりましたが、伝統の重みとそれを裏付けする造りのノウハウ、そして吟醸酒造りに対するこだわりは、どこにも負けないという自信が、菊姫にはあります。

伝統を受け継ぐ真の吟醸酒、「菊姫大吟醸」。その世界をさらに突き詰めた酒、「吟」。その味わいを、ぜひ、あなたご自身の舌でお確かめ下さい。