
誤解されている日本酒の世界<八>
~日本酒には、日本料理しか合わない?~
日本酒は一般的に甘みなどのエキス分が多く、酸は少なめです。また、酸と同程度かやや少ない量のアミノ酸が含まれており、これが日本酒独特の旨みとなって、味に幅を持たせます。これらの成分が、日本酒の味の特徴を形作っているわけです。
日本酒に合う食べ物といえば?誰でも想像するのは、懐石料理などの日本料理です。確かに、日本料理の繊細さやダシの旨みなどと、日本酒は良く合います。特に、魚料理とは抜群の相性で、魚の生臭さを目立たなくさせるというのは、日本酒の特徴の一つです。また、日本酒の甘みがお酢の酸味を上手く緩和してくれるので、酢の物とも合わせやすいのです。
食べ物とお酒を合わせるポイントは、味が軽めのお酒にはあっさりした料理、味のしっかりしたお酒には、濃い味つけでこってりした料理というのが、一応のセオリーです。しかし、市販されている日本酒の多くは、どちらかというと軽めでスッキリした味わいの方向に偏っているので、合う料理もほぼ決まってきます。選択の幅が狭いというのも、少々つまらない気がしませんか?
菊姫の製品、特に純米酒は「濃醇旨口」が特徴で、日本酒の世界では少数派に属するタイプです。そのため、あまり繊細な味つけのものでは、酒の味が勝ってしまうことがあります。逆に製品によっては、味のしっかりした中華料理や西洋料理と合わせてもマッチします。
たとえば、「山廃仕込純米酒」は酸味が強く、山廃酒母由来のアミノ酸などの旨み成分も多いので、脂っこい肉料理にも負けません。また山廃酒母は、乳酸菌などの増殖によってヨーグルトやチーズ様の香りが出てくるので、クリームやチーズなどを使った料理にも、相性は悪くありません。
「先一杯」は、ソフトで口当たりが良く旨みも適度にあるので、純米酒の中では守備範囲が広いお酒です。ちょっと冷やせば味が引き締まるので、比較的あっさりした料理に合います。また、ぬる燗にすると味のふくらみやコクが出てくるので、天ぷらなどの油ものにも合わせやすくなります。
その味わいを、ぜひ、あなたご自身の舌でお確かめ下さい。