菊姫 > 菊姫の酒造り > 酒道入門 > 誤解されている日本酒の世界<六>

菊姫の酒造り

誤解されている日本酒の世界<六>

~精米歩合の数値は小さいに限る?~

まず、「なぜ酒造りで原料米を削る必要があるのか」を説明しましょう。

日本酒の原料となる米は、玄米の状態では外側に近いほど脂肪やタンパク質などが多く含まれていますが、これらの成分が多すぎると、雑味となって酒の味を悪くします。吟醸酒の場合は、脂肪分が多いと香りが出にくくなる、ということもあります。そこで、なるべく純粋なデンプン質の多い、米の中心部分を使うために米を削るのです。

「精米歩合」とは、元の玄米を100%として、どれだけ残っているかを表示したものです。精米歩合70%というのは、外側の30%を削り落とした残りの白米、ということになります。ですから、この数値が小さいほど、玄米を削る割合が大きいということです。

すると、一見「精米歩合の数値が小さい」ほど良さそうに思えますが、実際には、米の品種によって精米前の玄米の成分には、かなりの差があります。山田錦などの酒造好適米の場合には、もともと不要な成分は少ないのですが、食用米の場合は、もともとが食味重視で開発されているので、酒造りで不要な成分は玄米の時点から少なくありません。そういう米の場合には、いくら削っても酒造好適米ほど不要成分は減りません。ましてや、食用にすらならない、質の悪い原料米の場合はなおさらです。つまり、みかけの精米歩合が同じであっても、元になる原料米次第で、出来上がる白米の質には大きな差が生じる、ということです。

結局のところ、精米歩合だけでは、中味の良し悪しまでは予想できません。みかけの数値よりも、玄米の品質の方がよほど重要だ、ということを知っておいて下さい。実際に、100%酒造好適米で造っている蔵は、極めてまれな存在なのです。

菊姫の原料米は、すべて酒造好適米です。中でも、兵庫県吉川町産の最高級山田錦を、贅沢に使用しています。その品質の差を、ぜひ、あなたご自身の舌でお確かめ下さい。