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菊姫の酒造り

五感も磨く、学研派

10年目の酒マイスター

菊姫が新しい時代の酒造りを担うスペシャリストとして「酒マイスター」の菊姫ロゴ募集を始めてから一〇年目を迎えました。募集を始めた頃、この業界ではすでに杜氏の後継者不足が大きな問題となっていましたが、本当に危機感をもって対処しようとした蔵元は、まだほとんどありませんでした。菊姫が目指したのは、杜氏が培ってきた伝承技術を分析・データ化し、企業ノウハウとして蓄積することでした。そうしなければ二十一世紀以降も高い品質で安定した酒造りを続けることはできないと考えたのです。 「次世代にも通用する本物の酒造りをしよう」を合言葉に、全国から集まつてきた若者が現在十一名。どのような時代になろうとも、絶対に妥協しない最高の酒造りに向けて、みな情熱を注いでいます。理論だけでは通用しにくい酒造りを、まず蔵人と一緒になって作業することで造りの工程をマスターしてきました。なかには三役(米を蒸す「釜屋」、麹をつくる「麹屋」、酒母をつくる「もと屋」〉を担える人材も育ってきました。

「木を見て森を見ず」になるな

現在では酒造りの上で五感で適切な判断と処置ができる人材が何人も生まれています。平成蔵においては、すでに酒マイスターたちは大活躍。あと数年後には、完全に彼らが主導的な立場で酒造りを行えると信じています。
しかし、これは学問的な裏付けがあってこそ可能になることです。酒造りも科学(化学)ですから、研究活動も実際の体感と同じくらい重要な仕事です。特に平成蔵では、公的な研究機関がうらやむほどの充実した研究設備を持ち、造りの期間以外は主にここが彼らの仕事場となります。 要するに一方に偏らず「五感と科学的知識の両方をバランス良く身につけた人材がいることが菊姫の自慢でもあり、強みです。
「木を見て森を見ず」にならず「旨い酒を造る」上で何が大切かを総合的に考え、行動できる人間をこれからも育てていくつもりです。 菊姫の未来、それは君たち「酒マイスター」が主役となって活躍しているに違いありません。

1997年10月~12月