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菊姫の酒造り

誤解されている日本酒の世界<四>

~アルコール添加した酒はおいしくない?~

まず、純米酒とアルコール添加酒の違いについて説明しましょう。

添加アルコールで薄まっていない分だけ、旨み成分が豊富で、飲みごたえがあるのが純米酒の特徴です。その反面、クセも強いので、人によって好き嫌いがはっきりするところがあります。純米酒は、水以外の原料は米と米から造る麹だけですから、原料の良し悪しから造りの巧拙まで、全てが露わになります。

質の悪い原料を使うと、不要な成分の溶出が多くなるので、味わいに豊かさがなく、雑っぽい味になりがちです。そういう原料の場合には、不要な成分が溶けにくい原料処理や麹造りをする、というのも一つの方法です。しかし、その場合は、必要な旨み成分も不足するので、おそらく淡麗で薄い味の酒になることでしょう。菊姫では、純米酒というものは「濃醇旨口」であるべきだ、と考えています。

アルコール添加酒の場合は、純米酒に比べて味わいは軽めになりますが、逆にキレの良さや爽快感が出てくるので、純米酒より喉越しが良く、飲みやすくなるという長所があります。また、吟醸酒の場合には、もろみからの香りを充分に引き出すための技術として、確立されています。香りの成分はアルコールに溶けやすいので、もろみにアルコール添加をすることでもろみ中の香りが引き出されて、上手く酒に移すことが出来るのです。

このようにアルコール添加は、使い方によっては、純米酒にはない良さを引き出すことができる技術である、ということを知っておいて下さい。どちらにもそれなりの良さがあるのですから、「どういう酒質を求めるかによって、製造方法を選択するべきだ」と菊姫では考えています。

菊姫の「菊」と「姫」は、アルコール添加酒ですが、純米酒を凌ぐほどの豊かな味わいと、飲みやすさを両立しています。これからの季節は、お燗することでさらにその旨さが冴えます。ぜひ、あなたご自身の舌でお確かめ下さい