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菊姫の酒造り

個性と誇りを捨てた日本酒

まともな日本酒が無くなるかもしれない

現在のような麹を用いた日本酒造りの基本は、今から1000年以上昔の平安時代には既に出来ていたといいます。その後も江戸時代には大量生産・運搬ノウハウの確率、明治時代には山廃酒母・速醸酒母の開発、昭和時代には高度精白が可能な精米機の出現など、日本酒独自の製造技術が発達してきました。日本酒の製造技術そのものが、日本の酒文化であると言っても過言ではありません。

今は昔の話になりますが、かって「酒といえば日本酒」(九州では焼酎かも知れませんが)という時代がありました。ところが、振り返って現在の状況をみると、かつてピーク時には1000万石(1石は180リットル)に届こうとしていた消費量が、今ではその6割程度にすぎないという凋落ぶりです。何故こんなことになったのでしょうか?それは売れるのをいいことに、コストダウンや合理化ばかりに力を入れ、利益優先の酒・時代に迎合した製品を造り続けてきた業界そのものに問題があったからに他なりません。一番コストを削りやすいのは原料費なので、本来削って取り除くはずの米糠まで使用しているところさえあります。これでも原材料は米と表示できるのです。ディスカウントストアーやスーパーでの激しい値引合戦、値段据え置きでどんどん大きくなってゆくパックやカップ、すっかり「日本酒は安物」というイメージが定着してしまいました。

良いものを造り続けるしかない

「信頼回復のためには、良いものを造り続けるしかない」と菊姫は考えています。 そのためには、何より「基本」が大事です。それは、原料に良質の酒造好適米である山田錦を惜しみなく使用することはもとより、10年20年先を見越した設備投資、酒造技術を絶え間なく継承していくための人材育成などの姿勢に現れています。原料米にしても、「山田錦が最高」と思えば、「灘以外には絶対に出さない」と言われていた産地・兵庫県吉川町まで何年も通い詰め、その熱意でついに口説き落としました。どんなに手がかかっても吟醸麹は蓋で手作りに徹し、濃醇なしっかりした味のために酒母には暖気樽を使うなど、良い意味で「目的のためには手段を選ばない」姿勢を貫いています。

菊姫は、吟醸酒から普通酒まで個性豊かな製品がそろっています。一番手ごろな価格の「姫」から、一本・五万円の限定品「菊理媛」まで菊姫の思想はどの製品にもしっかりと息づいているのです。