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菊姫の酒造り

吟醸酒が生んだ「菊姫の焼酎」

菊姫では、一昨年から焼酎も造っています。これは、吟醸酒用に精米したときに出る米の上白粉を利用して、高付加価値商品を造り出そうという発想から始まりました。菊姫の吟醸酒に使われている原料米といえば、他でもない、最高の酒造好適米である兵庫県吉川町産の「山田錦」です。日本酒造りに使用するときには、精米の工程で米粉が出ますが、この中の上白粉などは、質の良くない原料米よりよほど良いくらいなので、このまま無駄にするのは惜しい、と常々考えていました。これを何とか有効利用できないかと考え、たどりついたのが、他にはまだあまり例のない、山田錦による焼酎の製造です。

山田錦で作った焼酎は、新酒のときから独特の上品さと、やわらかな口当たりを持っており、原料の良さが味わいに生きていることを感じさせます。菊姫では、さまざまな焼酎の味わいを楽しんでいただくために、蒸留方法や貯蔵方法にバリエーションを持たせました。

まず、蒸留時の気圧によって、味わいに違いが生じます。
「常圧蒸留」はそのままの気圧で蒸留する方法で、蒸留時の品温が100度と高いために、さまざまな成分が製成されます。濃厚で複雑な味わい、芳醇な香りの焼酎となります。「減圧蒸留」は気圧を下げて蒸留する方法で、沸点が40度にまで下がるために、蒸留時の品温が低くなります。軽く飲みやすい味で、フルーティーな香りの焼酎になります。

また、貯蔵する容器の材質によって、貯蔵後の味わいに差が出てきます。「タンク貯蔵」は「しろもの」とも呼ばれます。容器由来のクセが付きにくいため、香味のバランスはあまり変化せず、自然でなめらかな味に熟成していきます。「樽貯蔵」は独特の「樽香」が付き、個性的な丸みのある味に熟成します。また、樽から溶出する成分により、ほんのりと琥珀色に色付きます。

菊姫の焼酎は、残念ながらまだ市販できる状態ではありません。三年間じっくり熟成させた後に、皆様にお披露目する予定になっています。どんな味に仕上がるのか、今からその時が楽しみです。今までになかった焼酎があなたのお手元に届くまで、もうしばらくお待ち下さい。