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菊姫の酒造り

誤解されている日本酒の世界<七>

~日本酒に「賞味期限」はあるの?~

「日本酒は造りたてが一番美味しくて、日が経つほど味が落ちる」と思っている方もいるかもしれませんが、それは誤解です。確かに、搾りたてのお酒には、他に変えがたいフレッシュさや華やかさがありますが、日本酒は、熟成させることで旨みが増してきて、新酒にはない深みと、複雑な味わいが出てくるのです。

この熟成は、蔵内でタンクに貯蔵されている間に進行しますが、びん詰めされた後も容器内で進んでいきます。日本酒は、タンク貯蔵時とびん詰め時に「火入」という加熱殺菌がされていますので、腐ってダメになることはありません。したがって、基本的に「賞味期限」はないのです。なお、ラベルなどに表示してある日付は、びん詰めされた日であり、賞味期限ではありません。

ただし、熟成による変化は徐々に進行していくので、すぐに飲まない場合には、保存方法、特に温度の管理が大切になります。温度が高いほど熟成の進行は早くなりますが、あまり高い温度だと、雑っぽい味になりやすく、色の変化も大きくなります。

日本酒の熟成に適した環境とは、温度が5.15℃位の間であまり変化がなく、日光の当たらないところです。また、蛍光灯も避けてください。買ってきたお酒をすぐには封を切らずに、自分好みに熟成するまで待ってみるのも、一つの楽しみかたと言えます。逆に、熟成による変化を望まない場合には、凍らない程度の低温で保存すると良いでしょう。

なお、開封後は酸化により品質が変化しやすくなりますので、早めにお飲み下さい。また、生酒の場合は、香味の変化が早いので、必ず冷蔵庫で保存し、未開封でも早めにお飲みになることをお薦めいたします。

菊姫では、熟成による味の深みやまろやかさを重視しています。そのため、新酒は品温の安定している貯蔵庫で数年間熟成させ、酒質に合わせてブレンドして出荷しています。その味わいを、ぜひ、あなたご自身の舌でお確かめ下さい。