11/09
「お米を知らなきゃ安定した酒は造れない」
山田錦の新米が続々と蔵の中に入ってきております。
お米といえど農作物ですから、昨年と全く一緒の成分値というわけではありません。
このまま、昨年同様の造り方をしていては酒質も変わってきてしまいます。
お米の特徴が造りに直接影響してしまうわけです。
なので、事前にお米の成分などいろいろ調べます。
例えば、麹菌や酵母といった微生物たちの活動に大きく関わる「カリウム」というミネラル成分を測定しました。
このカリウムは多ければ「発酵程度」などが強くなり、少なければ穏やかになります。
どんどん入荷しだした玄米を、ロット毎に試験精米して先ずはサンプルとします。
また、少しだけ精米し始めた今年の白米や、昨年後半の振り返りのために、昨年の白米などもサンプルとします。
お米は大量の中のごく一部だけサンプリングしても「真の値」をつかみにくいですから、サンプル作成も一苦労です。
カリウムの分析はいろいろな設備や機械が必要なので、金沢国税局鑑定官室や、石川農林総合研究センターの設備や機械をお借りして行っています。
新米の入荷が開始してからしばらくは、様々な分析を集中して行うので大わらわです。
新米の特徴をつかむための分析として他には「アルカリ崩壊」という分析もします。
アルカリ崩壊を見る事で、お米の「溶け具合」の一つの予想目安となります。
溶液に漬けてから4時間ぐらいではまだ差が見難かったですが、20時間以上経って、かなりはっきりと分かるようになりました。
(4時間くらい)
↓
(20時間くらい)
日本酒は、並行複発酵といって、「糖化」と「発酵」が同時進行で行われていきます。
したがって、毎年のお米の傾向として「溶け具合」と「発酵程度」がとても重要となります。
こういったお米の分析速やかに行うことで、何年度産のお米の「溶け具合」と「発酵程度」に似ているな
ということが瞬時に把握できます。
ということはその年の酒造りを大元に作業を進めていけば
同じ酒質の安定した酒が出来上がるというわけです。