05/11
「この酒は甘口?辛口?」
いきなりですが
◆体重が「60kgの人」と「60kgの人」、どちらの方が太っているでしょう??
ん?何を言っているんだ?同じだろ?と思われた方。よく考えてみてください。
これは、身長や性別、筋肉量などのさまざまな要素を含めて判断しなければなりませんよね。
共に身長150㎝で体重60㎏でも一方は太っているだけかもしれないが、一方は筋骨隆々なマッチョマンかもしれない。
まぁ、だいぶ極端な例ですが・・・
◆日本酒の分析値の一つに「日本酒度」(以下酒度)があります。
これは、酒中のエキス分(糖分など)の多い・少ないを表す数値で、エキス分が多いほど比重が重く、酒度は-(マイナス)側になります。
つまり
エキス分が多い=酒度が-(マイナス)側の酒=「甘口」
逆に
エキス分が少ない=酒度が+(プラス)側の酒=「辛口」
と言うわけです。
一般的には、この数値で酒の甘辛度を表現しています。
しかし、先ほどの体重の話と同様で
◆日本酒も、酒度が同じでも、口に感じる甘辛さは様々な要素によって異なってきます。
例えばお酒に入っている酸の量によっても変わります。
乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸など酸にもたくさんの種類があるのですが
これらの酸の量の指標を「酸度」と呼び、これが高いと辛く感じたりします。
アルコール分の量、酒の熟成度合などによっても変わりますし
また、エキス分の量が同じでも、糖の種類などによって甘みの強さは異なります。
更に言えば、人によって味覚の感じ方そのものが異なってくるので、
一概にこのお酒は甘い。このお酒は辛いといったことは言えないのです。
◆では日本酒の甘辛を知るにはどうしたらいいのでしょう?
日本酒度と酸度を加味した「甘辛度」というものもありますが、あくまでこれも指標の一つです。
答えは簡単です。「自分の舌で決めればいいんです。」
なんだよ。結局飲まなきゃわからないのか。
と思うかもしれません。
けれども、しっかりした麹を造って米の旨みを引き出した酒は
酒の中に様々な成分が溶け出ており、複雑で深い味わいを持っています。
同じ商品でもその味の感じ方は千差万別であります。
ランキングや指標ではなく自分の味覚「ベロメーター」をもっと信じてみてはいかがでしょうか。