12/09
柳社長コラム 「原料米の大切さ」
日本酒の原料米にはいろんな種類がありますが、その中で
酒造りに適した性質を持つ米を、「酒造好適米」といいます。
食用米との違いや特徴は、
○ 大粒で高度精白に適する → 酒造用の米は半分以上削ることもある
○ 米質が柔らかく、「心白(しんぱく)」という空隙になった部分がある
→ 米の融けやすさ、麹菌の繁殖のしやすさにつながる
○ タンパク質や脂肪分など、酒の味や香りを悪くする成分が少ない
などです。
あらかじめ作る量が決まっているため、希望しても買えない場合もあり、
比較的価格が高い、などの不都合もあります。
ところで、日本酒の製造に使われる米のうち、
酒造好適米はどのくらいの割合を占めているかご存知ですか?
実は、たった17~18%程度にしか過ぎないのです。
その他は、あまり酒造りには適さない品種の米や、価格が安い
「加工用米(他用途利用米)」という米などが使用されています。
前述の通り、酒造好適米は比較的価格が高く、
特に兵庫県産の山田錦は一般の食用米の約2倍と高価です。
しかし、原料の質が悪ければ、どんなに技術力があっても
良いものを造るには限界があります。
どんな原料米を使うかで、酒造りに対する蔵元の考え方が
わかってしまうといっても過言ではありません。
品質を追求するなら、原料から吟味するべきなのは当然です。
菊姫では、吟醸酒・純米酒は全て酒造好適米のみで造っています。
手ごろな価格の普通酒でも、要となる麹米や酒母には
酒造好適米を使用しています。
主に使用しているのは、酒米の王「山田錦」。
兵庫県三木市の吉川町は、山田錦発祥の地でもあり、
昔から質の良い酒米を生産する産地として知られています。
菊姫では、ここに「村米」と呼ばれる契約地を確保しています。
また、年に数回この村米地区を訪れており、
自社に入ってくる米がどんな田んぼで作られているか、
どの農家さんが作っているのか、全て把握しています。
昨今は、酒造業界で純米酒へのアルコール添加や、
特定名称酒に規格外の米を使用するなど、
消費者の信頼を揺るがせる残念な事件がいくつか起きています。
しかし、こういう時代だからこそ、
「本当に信頼できるものは何なのか」が問われることでしょう。
もの造りに奇手や近道はありません。酒造りもまた然りです。
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