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08/06

柳社長コラム 「精米歩合の不思議」

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少々難しいお話になりますが、しばしお付き合い下さい。
 
日本酒造りに使う米は、ある程度の精米が必要です。
普段皆さんが食べている食用米はせいぜい1割削る程度ですが、
酒造りでは3割から6割も削ってしまいます。
 
米の表皮に近い部分には、タンパク質や粗脂肪など酒造りに
不要な成分が多いため、これらの成分を減らす必要があるのです。
特に、香味をキレイに整えたい吟醸酒では、米の芯に近い部分まで削ります。
 
清酒のラベルには、「精米歩合」という数字が表示されています。
この精米歩合というのは、使用している米がどのくらい削られているかを
示したもので、精米前の玄米重量に対する精米後の白米重量の割合で示します。
 
たとえば1,000kgの玄米を精米して500kgの白米ができたとき、
精米歩合は500÷1000×100=50%となります。
 
ただし、これはあくまでも「みかけの精米歩合」であり、
実際に米がどのくらいキレイに精米できているかを
保障するものではありません。
元になる玄米の品質や、どのような精米をするかで、
「真の精米歩合」は大きく異なるからです。
 
玄米は、その品質に応じて等級が決められています。
等級は基本的に1等から3等ですが、酒造好適米
(酒造りに適した性質を持つ酒造り専用の品種)に関しては、
1等の中でさらに特上・特等・1等と細かく格付けがされています。
 
等級が高い米のほうが高品質ですが、当然ながら価格も高くなります。
ちなみに、特定名称酒(吟醸酒・純米酒・本醸造酒など)には、
3等以上の玄米を使用しなくてはなりません。
 
では、この等級によって品質にどの程度の差があるのでしょうか。
 
一番上の特上米では整粒の割合は90%以上、不整粒米(くず米)は10%以下。
粒もきれいに揃っています。これが3等米になると整粒の割合は45%以上、
すなわち不整粒米の方が整粒より多くなるのです。
 
不整粒米は、整粒より粒が小さく品質も劣ります。
特上米を50%まで精米した白米と、3等米を40%まで精米した白米を比較しても、
後者のほうがキレイに磨けているという保証はありません。
 
菊姫では、特に高度精白が必要な吟醸用には、厳選された特上米だけを使っています。
また、自社で使用する米は全て自家精米し、丁寧に時間をかけて磨いています。
 
お酒の品質は、原料の質や造りの中身で決まるもの。
数字だけを見て、振り回されないようにしたいものです。
 
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